労働事件のご相談
企業の方へ

1. 解決から予防へ

ポイント

  • 昨今、労働者による残業代請求など労働事件が多発している。
  • このような請求も常日頃の準備と運用で、高い確率で予防できる
損害賠償請求

昨今、労働者の方が雇い主である使用者に対し、残業代の請求や解雇の無効・撤回、ハラスメント(パワハラ、セクハラなど)を理由とする損害賠償請求をするケースが増えています。
もちろん、それが労働者としての正当な権利の行使であれば、非難することはできません。
ただし、それが客観的に見れば不必要な要求であったり、行き過ぎた過大な要求であったりすることも珍しくはありません。

不当な要求であっても、正当な権利の行使であっても、それが事件化した場合は、その解決までに要する労力・時間・金銭的な負担等は決して小さいものではありません。その意味では、事件化する前に予防することが何より重要となってきます。

一番好ましいことは、不当な要求だけではなく正当な権利行使についてもそれが発生しないような社内体制を構築することです。
特に労働事件については、常日頃の準備とその運用を行うことで、かなり高い確率で正当な権利の行使についても予防することができます。

ポイント

  • 昨今、労働者による残業代請求など労働事件が多発している。
  • このような請求も常日頃の準備と運用で、高い確率で予防できる

2. なぜ労働事件が増えているのか?!
企業を取り巻く労働事件の環境

ポイント

  • 労働者側が裁判所を利用しやすくなった
  • インターネットの普及で情報収集が容易となった
  • 弁護士の人数や広告が増え、弁護士への依頼もしやすくなった

以下の図をご覧ください。
これは裁判所に労働審判が申し立てられた件数の推移をまとめたものです。
労働審判制度が始まった平成18年当初は877件しかなかったものが、平成21年以降は3000件を優に超える状態が続いています(労働審判とは?)。
では、なぜ労働事件が増え続けているのでしょうか。

全国の労働審判事件の件数

2-1. 労働審判制度の創設

上記のとおり平成16年から労働審判制度が始まりました。これまで裁判と言えば、よくテレビで見るような公開の法廷で、1年、2年と長い時間をかけてやるものが主流でした。
これに対し、労働審判は、非公開の法廷で短期間のうちに労働事件の解決を目指すことを目的とした制度です。労働審判法第15条で「迅速な手続」という規定が定められていることもあり、労働審判では(通常)労働者から書類が提出されてから2~3か月以内に何らかの結論が出されるケースが大半です。

そのため、これまでは時間がかかるとか、公開の法廷で裁判をすることには抵抗があると考えていた労働者の方が自分の要求を実現するために裁判所を利用しやすくなったと考えることができます。

労働審判制度

2-2. 権利意識の高まり

昨今は、主にインターネットの普及で労働者の方も簡単に様々な情報を得ることができます。

インターネットでは、労働者にはどのような権利があるかということに始まり、実際に裁判で勝った労働者の成功体験、その権利を主張するためにどのような証拠が必要なのかなどの情報を簡単に得ることができるようになりました。

2-3. 弁護士へのアクセスのしやすさ

以前に比べれば、弁護士の人数は格段に増えました。たとえば、平成7年当時は15,108名しかいなかったのですが(平成17年は21,185名)、平成27年には36,415名と、この20年間で倍以上に増えています。

また、インターネットを中心に弁護士による広告が増え、広告内容も多様化したことにより労働者の方が弁護士にアクセスしやすくなりました。主にこのような理由から労働事件が以前に比べて増え続けていると考えられます。

ポイント

  • 労働者側が裁判所を利用しやすくなった
  • インターネットの普及で情報収集が容易となった
  • 弁護士の人数や広告が増え、弁護士への依頼もしやすくなった

3. 労働事件に備えて顧問弁護士を持つメリット

ポイント

  • 企業側は労働者と戦うために最低限必要なものすら揃っていないことが多い
  • 残業代請求事件では、常日頃の労働時間の管理が重要になる
  • どのような対応をし、証拠を残しておくべきか弁護士に相談するのがベスト
  • 労働者も裁判は望んでいない。体制を整えておけばトラブルも防げる

3-1. 労働契約書(雇用契約書)、就業規則、賃金規程、退職金規程などの整備

顧問弁護士

労働事件となると、使用者側が負けるというイメージが強いかもしれません。
しかし、それはそもそも労働者と闘うために最低限必要なものすら使用者側には揃っていないことが多いからです。
法律は、労働契約書の作成を勧めており、常時従業員が10名以上いる事業所においては就業規則(賃金規程を含む)の作成を義務付けています。
これはもちろん、労働者のためのものでもありますが、私は、きちんとした内容の労働契約書や就業規則であれば、使用者を守る強力な道具にもなると考えています。

たとえば、通常、「残業手当」や「時間外手当」などその名称上、残業代の性格であることが明らかである場合は別として、「特別手当」など具体的に何の手当なのかが明確ではないものについても、労働契約書や就業規則において「残業代の性格を有するもの」として明確に記載をしておけば残業代として考えることができる可能性が高まります。

一方で、労働契約書や就業規則を作成することなく、採用時に「この手当(たとえば「特別手当」など)には、残業代を含めています」と口頭で説明をしたとしても、裁判になればそれが「残業代」を支払ったものとして考えてもらうことは困難となります。

このように労働契約書や就業規則は、その企業の実態に沿った形で、かつ法律や裁判例の考えを考慮したうえで作成されている場合には、企業を守る強力な道具になると言っても過言ではありません。
そして、このような就業規則等については、企業の実情を十分に把握することのできる顧問弁護士に作成を依頼する、もしくは既に作成されているものについての意見を求めることが有用です。

3-2. 常日頃の労働時間の管理や懲戒権行使

労働契約書や就業規則などを作成し、せっかく準備をしたとしても、それに基づいた運用がなされていないと何の意味もありません。
準備に基づく日頃の運用をしていなかったことが原因で、残業代請求をされたり、解雇などの懲戒権の行使について無効撤回を求められるケースも多いのです。

3-2-①. 残業代請求事件では、労働時間の管理を行う

残業代請求

不当な残業代請求を防止するためには、常日頃から労働者の労働時間をきちんと管理しておく必要があります。
たとえば、仕事が終わったにもかかわらず、ダラダラと事業所に残っておしゃべりをした後にタイムカードを押して帰る慣行がある場合には、仕事が終わったらすぐにタイムカードを押すように指導する必要があります。

裁判になって「あの従業員は仕事が終わったのにタイムカードをすぐに押していなかった」と主張しても、それを証明することは非常に難しく、会社側の言い分は認められない可能性が高いと言えます。このように常日頃の労働時間の管理は極めて重要ですが、労働者がこれに従わないなどした場合には、会社側としてもそれにどのように対処すべきかを考えなければなりません。

また、業種やその労働者の勤務形態によっては(たとえば外回りの営業など)、タイムカードで労働時間を管理することが適当ではない場合もあります。
このような場合には、その会社の実態を一番把握している顧問弁護士に適宜相談をしながら労働時間の管理方法を考えていかなければなりません。

3-2-②. 注意・指導の証拠を残す

証拠

また、仕事ぶりや勤務態度に問題のある従業員に対しては、適宜注意指導を行い、場合によっては就業規則に基づき懲戒権を行使する必要があります。その注意や指導についても、極力その証拠を残しておく必要があります。
そして、懲戒権の行使についても、濫用と評価されないように注意しなければなりません。懲戒権の行使については、特に慎重にならなければならず、段階を経て、そして法律や就業規則に則ってなされなければなりません。

労働者に重大な問題行動があったとしても、懲戒権行使の手順等を間違えれば、権利の濫用として無効とされるケースが大半です。
その意味では、労働者に何らかの問題行動が認められた場合には、速やかに弁護士に相談して、まずはどのような対応を取るべきか、どのような証拠をそろえるべきかのアドバイスをもらうことが重要となります。

そして、それに対して労働者が取った対応を改めて弁護士に相談し、会社としては次にどのように対応すべきかを考える必要があります。そのような段階を経て、最終的にはどのような処分にするのが適当かを考えることとなります。このような段階を経る以上は、継続的に相談をできる顧問弁護士を持つことが重要と言えます。

3-2-③. 労働者も裁判は望んでいない

裁判

最後に、労働者の方も基本的には雇い主である使用者との間でトラブルになることは望んでいません。
使用者側で上記のような体制をきちんと整えていれば、トラブルになる可能性は極めて小さくなります。
その意味でも、使用者側で上記のような体制を整えることは、自らのためではなく、労働者のためにもなりますので、是非ともその体制構築に努めていただきたいと思います。

そして、その体制を構築し、維持することは決して簡単なことではありません。
また、裁判所の考え方も変わることがあり、その場合にはそれを踏まえた体制に変更する必要があります。

そのためには継続的な相談をできる顧問弁護士を持たれることを強くお勧めします。なお、労働者の方は、弁護士に相談に来る前の段階で、必要な証拠の大半をそろえておられる方が非常に多いため、会社側としてもそれに備えておく必要性は高いと言えます。

ポイント

  • 企業側は労働者と戦うために最低限必要なものすら揃っていないことが多い
  • 残業代請求事件では、常日頃の労働時間の管理が重要になる
  • どのような対応をし、証拠を残しておくべきか弁護士に相談するのがベスト
  • 労働者も裁判は望んでいない。体制を整えておけばトラブルも防げる

4. 企業の労働事件・弁護内容事例

ポイント

  • 就業規則や賃金規程は業種や規模に応じて作成すべき
  • 労働事件は、事件として表面化する前に未然に予防すべき
  • 労働事件が表面化してしまったら、どのような解決を図るのか弁護士に相談するのがベスト
弁護内容事例

以下、どのように労働事件を予防し、または解決するかをご説明したいと思います。

4-1. 業種や規模、企業風土に合わせた就業規則や賃金規定の作成

法律上、就業規則を作らないといけないから、とりあえずインターネットで公開されていた就業規則の雛型をそのまま自分の会社の就業規則にしている、という企業様を見かけることがあります。
しかし、業種や規模などの違いを考慮せずに就業規則を作成しても、絵に描いた餅であり、仮に、裁判になっても何の利用価値もありません。そもそも、労働者がそのような就業規則を遵守しようという考えにはならないと思われます。

そのため、業種や規模などに応じた就業規則や賃金規程を作成する必要があります。
それだけではなく、私は、十分にヒアリングをさせていただいたうえで、経営者の方の考えや企業風土を考慮して、その企業様に見合った就業規則や賃金規程を作成するように心掛けています。

4-2. 事件として表面化する前

労働事件

上記のとおり、労働事件は、事件として表面化する前に予防することがベストと言えます。
以下、解雇などの懲戒権を行使する場合を例にとってご説明したいと思います(以下はあくまでも数あるプロセスの1つであり、常にこのようなプロセスを取るわけではなく、場合によっては前後することもあります)。

4-2-①. 問題行動の発生

会社として、無視できない労働者による問題行動が発生したとします。
その場合には、その問題行動の内容やそれに至った背景、その労働者の業務内容、経歴、人柄などを弁護士壇一也により詳しくヒアリングさせていただき、会社としてまずはどのように対応すべきかをアドバイスさせていただきます。たとえば、会社から当該労働者に何らかの接触を図るべきか、それとも一旦は接触を控えてまずは証拠の収集に努めるべきかなどのアドバイスをさせていただきます。

4-2-②. 証拠の収集

問題行動の存在が具体的に明らかとなり、それについて会社としては無視できないという判断に至った場合には、会社としては、その存在を裏付ける証拠を収集しなければなりません。
その証拠が書類などの客観的なものになることもあれば、同僚などの証言になることもあります。
その問題行動の内容によって、どのような証拠を収集することがベターなのかを弁護士壇一也がアドバイスさせていただきます。

4-2-③. 労働者との話し合い

このようなプロセスを経て、問題行動の内容について裏付けが取れた場合には実際に労働者と話し合って、当該労働者の言い分を聴取しなければなりません。場合によっては、弁護士壇一也がその話し合いに同席させていただくこともあります。

4-2-④. 懲戒権行使についての検討

このような労働者との話し合いを経て、会社としてはどのように対応するかを考えなければなりません。場合によっては再度証拠を収集する必要があることもあります。

以上のようなプロセスを経て、会社が把握している問題行動の内容やそれに至った背景、労働者のこれまでの勤務態度や実績、上記(4-2③)での労働者の弁明内容などを総合考慮して、どのような懲戒権を行使するか(懲戒解雇か、減給か、戒告処分かなど)を検討しなければなりません。これについても、過去の裁判例などを参考に、弁護士壇一也が何が適当な処分なのかをアドバイスさせていただきます。

ポイント

  • 就業規則や賃金規程は業種や規模に応じて作成すべき
  • 労働事件は、事件として表面化する前に未然に予防すべき
  • 労働事件が表面化してしまったら、どのような解決を図るのか弁護士に相談するのがベスト

5. 事件として表面化した後

ポイント

  • 会社として最善を尽くしても事件に発展することもある。
  • そのような場合に目指すべき解決の方向性を弁護士に相談しながら検討すべき。
労働事件

会社として事件化しないような体制を整えたとしても問題が生じることは否定できません。また問題が生じた場合であっても深刻化しないように労働者とその解決に向けて協議を重ねても、労働者が労働組合に加入して団体交渉を求めてきたり、弁護士に依頼するなどして事件に発展することがあることも否定できません。
そのような場合には、会社としては、まずはどのような解決を目指すべきかを考えなければなりません。

弁護士壇一也は、上記のとおり、会社側だけではなく、労働者側でも労働事件を扱ってきた経験が豊富ですので、どのような解決を図ることが経済的にも時間的にもメリットがあるのかを的確に予測することができます。つまり、裁判になることを覚悟で徹底的に争うべきか、裁判前に当方も一定の譲歩をして早期解決を図ることが好ましいのかをアドバイスさせていただきます。

そして、そのような場合にどのような証拠をそろえて、どのようなタイミングでどのような主張をすることが適当かをアドバイスさせていただきます。

ポイント

  • 会社として最善を尽くしても事件に発展することもある。
  • そのような場合に目指すべき解決の方向性を弁護士に相談しながら検討すべき。

6. 労働問題ついての着手金及び成功報酬金(税抜)

事件の種類 着手金 報酬金
残業代請求(交渉) 無料 回収額の20%
残業代請求(労働審判) 回収額の25%
残業代請求(訴訟) 回収額の30%
解雇無効、撤回請求(交渉) 無料 回収額の22%
解雇無効、撤回請求(労働審判) 回収額の25%
解雇無効、撤回請求(訴訟) 10万円 回収額の27%
労災事故による損害賠償請求(交渉) 無料 合意額の20%
労災事故による損害賠償請求(労働審判) 10万円 和解額(認容額)の20%
労災事故による損害賠償請求(訴訟) 30万円 和解額(認容額)の20%

※ご依頼いただく事案の内容や相手方の経済状況などによっては、上記プランは適用できないこともございますのでご了承ください。

労働事件に強い理由

労働事件に強くなった理由となる
私の軌跡をご紹介

平成16年弁護士登録

新人弁護士時代

新人弁護士の頃は、借金問題や離婚、相続、交通事故などいわゆる一般的な民事事件を中心に取り扱っていました。経験を重ねるうちに徐々に専門的な知識が要求される案件についても取り扱うようになりました。そのおかげで現在は、基本的にどのようなご相談についても対応することができるようになりました。

労働事件のエキスパートへ

弁護士になって2年目、鴻和法律事務所内での勉強会で私が講師を担当することになりました。その際、私は、勉強会のテーマを労働法にし、それ以降、労働法の勉強するようになりました(なお、今では労働事件を取り扱う弁護士は増えましたが、当時は労働事件はそこまで多くもなく、それを専門に扱う弁護士も限られていたというのが私の認識です)。これをきっかけに、私の労働事件に対する関心は高まり、それとともに労働事件を取り扱う機会も多くなりました。今では、鴻和法律事務所の弁護士の中でも一番多くの労働事件を取り扱っているものと自負しております。

企業側・労働側、双方の視点で

また、私の場合は、企業側でのみ労働事件を扱うわけではありません。ご相談やご依頼があれば労働者の側で労働事件を扱うこともあります。実際、私がこれまで取り扱ってきた労働事件は、企業側:労働者側=60:40程度の割合です。このような経験を経て、企業側、労働者側でたくさんの労働事件を解決してきました。その意味では、企業側の弁護を行う場合は、「従業員側の弁護士がどんな手を打つか?」、従業員側の弁護を行う場合は「企業側の弁護士がどんな手を打つか?」ということを的確に推測することもできます。

豊富な経験と実績で、弁護の先を読む

まとめますと、労働事件において私の強みは、豊富な経験と実績、及び実際にみなさんが相談される事件について相手方の弁護士がどのような回答、反論をしてくるかを予想しながら弁護活動を行えることにあると考えております。

経営者の皆様へ

弁護士 壇 一也

私は、労働事件を比較的多く扱っています。
企業側を担当することの方が多いですが、労働者の立場で労働事件を扱うことも少なくありません。行政事件で言えば、私は「行政側の弁護しか引き受けない」(もしくは「市民側の弁護しか引き受けない」)という、固定した弁護方針は持っておりません。

あくまでも、私の弁護を必要とされる方の弁護を担当するのが、私の弁護士としてのポリシーです。弁護士によるサポートを必要とされる方が私の目の前に現れたら、基本的にその依頼を断ることなく、その方のために最善を尽くします。
これは、労働事件についても言えます。「企業側でしかやらない」もしくは「労働者側でしかやらない」という考え方は全くありません。