介護事業者の方へ

1. 高齢化が進む日本において
担う役割と責任が大きな介護事業

ポイント

  • 介護事業における離職率を下げるためには働きやすい職場環境を整えることが必要
  • 虐待問題や事故、不当な要求やクレームなど、介護事業特有の潜在的な問題を未然に防ぐことが重要
  • 介護事業者の弁護を得意とする顧問弁護士のサポートがあると心強い
介護事業

高齢化が進む日本において、今後、介護事業者が担う役割と責任はさらに大きくなり続けると思います。逆に言うと、介護事業を担われる社会福祉法人などの事業者の方々にとってはビジネスとしての魅力は非常に大きなものということができると思います。

もっとも、介護という性格上、職員の方々の肉体的・精神的な苦労は非常に大きなものと言わざるを得ません。さらに介護事業においては人材不足が指摘されています。その意味では、今いる社員の方々の離職を防ぐことは必要不可欠と言っても過言ではありません。そのためには働きやすい職場環境を整えることが必要となってきます。

また、介護事業においては、社員による利用者の方への虐待問題が発生してしまうことも残念ながら否定しがたい事実です。
さらには、利用者の方々は、高齢者や精神的・肉体的に障害をお持ちの方が多いため、転倒や誤嚥などの事故を起こされてしまう危険もあります。
そして、時には利用者のご家族や、親族と名乗る方から不当な要求やクレームがなされることも珍しくはありません。

このように介護事業においては、その性格上、どの事業所においても発生してもおかしくはない潜在的な問題を抱えていると言えます。

1-1. 数多くの経験から解決までサポート

私は、数多くの介護事業者様に顧問先として関与させていただいており、上記のような問題に数多く対応してきました。このような経験を少しでもお役に立てたいと考えて、これからも介護事業者様へのサポートに力を入れていきたいと考えております。

解決までサポート

ポイント

  • 介護事業における離職率を下げるためには働きやすい職場環境を整えることが必要
  • 虐待問題や事故、不当な要求やクレームなど、介護事業特有の潜在的な問題を未然に防ぐことが重要
  • 介護事業者の弁護を得意とする顧問弁護士のサポートがあると心強い

2. 介護事業者を取り巻く環境 〜法務の重要性〜

ポイント

  • 職員との信頼関係を築くには、労働条件を適正・明確化し労務管理を行うことが重要
  • 虐待問題は、介護事業者にとって存続をかけた問題になりうる
  • 転倒事故などの賠償金は法律に従った賠償額を算定すべき
  • 家族・親族への対応でも、大きなトラブルに発展するケースがある

2-1. 職員(従業員)との関係

職員(従業員)との関係

上記のとおり、介護事業における離職率の高さに加え人材不足という問題を克服するためには、まずは何よりも職員が働きやすい環境づくりが必要です。
それが職員の離職をなくすことにつながるだけではなく、職場の雰囲気もよくなり、さらには仕事の能率も上がり、事業所全体の生産性の向上にもつながります。

では、働きやすい環境を作るためにはどうすればよいのでしょうか。この点で、私たち弁護士がお手伝いできることはトラブルのない職場環境の構築です。
では、そのためにはどうすればいいのでしょうか。
それは労働条件を適正なものにしたうえで、明確にすること、そしてその労働条件にのっとって労務管理を行うことが重要です。

詳細は、顧問契約や労働事件(企業側)にも記載しましたが、雇用契約書や就業規則などを作成し、それに基づいた常日頃の運用を行う必要があります。

介護事業における離職率

ところが、このような体制を整えていたとしても、介護事業においては、様々な労務上のトラブルが発生しやすいと言えます。
一般的には、介護事業においては労働時間が長くなる傾向があるために残業代の請求をされるケースも珍しくありません。
また、虐待の問題が発生して、それを疑われた職員が虐待の事実を否定している場合に解雇などの懲戒処分をした結果、解雇無効・撤回を求められるケースもあります。

特に後者のような問題が発生した場合には、対応の仕方を間違えると虐待をされたと主張される利用者やそのご家族に加え、解雇をした社員からも訴えられ、介護事業者が同時に2つのトラブルを抱える羽目になってしまいます。

このような事態に至れば、介護事業という本業どころではなくなってしまうため、トラブルに発展する可能性が少しでも認められた場合には速やかに弁護士に相談ください。

2-2. 利用者との関係

利用者との関係

2-2-①. 虐待問題

介護事業者にとって、虐待問題は他山の石ではありません。職員の方々が一生懸命に利用者のために介護をされているなかで、利用者の方が言うことを聞いてくれない、理解ができない、逆に反抗されるなどと言った理由で、職員の方の口調や態度が強くなったり、時には行き過ぎてしまうこともあるかと思います。

たとえば高齢者虐待防止法によると「虐待を受けたと思われる高齢者を発見した」場合には、市町村に通報する義務ないしは通報するように努める義務があるとされています(7条1項・21条2項、7条2項・21条3項、21条1項)。

このように虐待問題が発生した場合には、事業所内で解決すればよいものではなく、市町村に通報しなければなりません。
その結果次第では、最悪の場合には介護保険の指定取り消しや指定効力停止などの行政処分を受けることも想定されます。そこまでいかなくても、場合によっては、その虐待問題がマスコミ等で公になったり、近隣で噂になって事業継続に影響を来すことも想定されます。

さらには、万が一、虐待が事実であれば、虐待に関わった職員だけではなく雇用主である介護事業者までも、利用者ないしはそのご家族への損害賠償責任を負うことにもなります。

その意味では、虐待問題は、介護事業者にとっては存続をかけた問題と言っても過言ではなく、いかに迅速にかつ誠実に対処するかがポイントになります。
そして、このような対応については、利用者や職員からの事実関係を聴取して、また証拠も精査したうえで行わなければなりません。このような一連の対応を適切にかつ迅速に行うためには弁護士に相談をし適宜アドバイスを受けることが重要となってきます。

2-2-②. 転倒事故などの問題

転倒事故

利用者は何かしらの介護を必要とする場合が通常です。
そのため、おひとりでいる際に転倒・転落事故を起こしたり、食事の際に誤嚥事故を起こしたりする危険も高くなります。
このような事故が発生した場合には、介護事業者は不法行為責任などを負い、多額の損害賠償金を支払わなければならなくなる危険があります。

不法行為責任を負うのは、介護事業者にその事故の発生について過失があった場合です。この過失判断の1つの目安として、その利用者の方のお身体などの状況などからそのような事故の発生を予測できたかどうかがポイントとなることが一般的です。たとえば、主治医からその利用者については「嚥下障害の危険がある旨」の説明を受けていた場合には、誤嚥事故が発生する可能性があるとの認識のもと介護に努めなければなりません。

誤嚥事故

もちろん、このような事故が発生しないような体制を構築することが一番ですが、それでも事故が起こってしまう可能性は否定できません。
そのような場合に重要なことは利用者本人やそのご家族に対して、最初にどのような対応をとるかです。この初期対応に問題があったために関係が悪化し、裁判などに発展することも珍しくありません。

また、事故が起こってしまった場合に、損害賠償金としてはいくらが相当かの問題も検討しなければなりません。事故を起こしたことに責任があることと、その場合にいくらを支払うのが妥当かは別問題です。賠償額については利用者側の要求額を鵜呑みにするべきではなく、法律に従った賠償額を算定すべきです。

以上のような事故が起こった場合の初期対応、及び賠償額の算定は弁護士に相談し適宜アドバイスを受けることが重要となってきます。場合によっては、利用者側との交渉を弁護士に依頼することも必要となってきます。

2-2-③. 判断能力の欠如などの問題

判断能力の欠如

利用者の中には、高齢や認知症などのために判断能力が十分ではなかったり、判断能力が欠如されている方も少なくありません。

そのような場合に介護事業者としてどのように対応するかを検討すべき場合もあります。いわゆる成年後見人や保佐人、補助人を選任してもらうべきか、その場合にどのような方法によるか(誰に申し立ててもらうか、申立てのために必要な費用をどのように工面するかなど)など法律的にも現実的にも難しい問題を検討しなければならないこともあります。

2-3. 利用者のご家族やご親族(と名乗る方も含む)との関係

ご家族やご親族

介護事業者の中には、利用者のご家族やご親族もしくはご親族と名乗る方から様々な問い合わせや不要な要求、クレームを受けた経験がある方もいらっしゃるかと思います。
このような場合には、まずは問い合わせなどをしてきた方が利用者とどのような関係にあるのかを正確に把握する必要があります。そもそも利用者の家族でもなく親族関係もない場合には、そのような問い合わせに対応すべきではありません(なお、弁護士はこのような場合に「職務上請求」という制度を使って、その方が利用者と親族関係があるか否かなどを調査することができます)。

また、親族ではあっても利用者との関係が希薄な場合には、その方の要求や問い合わせにどこまで対応すべきかを慎重に検討しなければなりません。というのは、そのような方の問い合わせ等に十分に検討しないまま対応してしまえば、利用者本人や利用者により近い親族の方との間でトラブルになる可能性も出てくるからです。

そして、問い合わせ内容についての検討も必要です。たとえば、虐待の疑いがあるとの問い合わせについてはもちろん真摯に対応しなければなりませんが、なかには利用者の方の預貯金を様々な理由をつけて支払うように求めるなど明らかに不当な要求を行う人もいます。

このような利用者のご家族やご親族からの問い合わせに対して初期の対応が不十分であったり不適切であった場合には関係が悪化し、トラブルに発展する可能性も否定できません。
そのため、このような場合にも弁護士に相談をして適宜アドバイスを受けながら対応することが重要です。

ポイント

  • 職員との信頼関係を築くには、労働条件を適正・明確化し労務管理を行うことが重要
  • 虐待問題は、介護事業者にとって存続をかけた問題になりうる
  • 転倒事故などの賠償金は法律に従った賠償額を算定すべき
  • 家族・親族への対応でも、大きなトラブルに発展するケースがある

3. 介護事業者が顧問弁護士を持つメリット

ポイント

  • 顧問契約していれば、困ったときにすぐに相談可能
  • 介護事業者にとって顧問弁護士は、問題予防や解決に極めて有効
顧問弁護士

弁護士に相談する場合は、通常、弁護士との相談のアポイントを取り、法律事務所を訪問する必要があります。
ところが、介護事業者様の相談内容は特に緊急を要することが多く、その度にこのような手順で相談をしていたのであれば適切な時期に適切なアドバイスを受けられないこともあるかと思います。

顧問契約を締結していただけた場合には、このような手順を踏むことなく、まずは電話で相談内容を顧問弁護士に伝え、その電話でおおまかな方向性についてアドバイスを受けることができます(この間5~10分あれば十分です)。
そのうえで、事業者様で初期対応をしていただき、今後具体的にどのように進めていくかを改めて相談いただくことができます。
その意味では、介護事業者様が顧問弁護士を持つことは、介護事業において起こりうるあらゆる問題予防や解決のためには極めて有効と言えます。

なお、顧問契約の具体的な中身については、顧問契約もご覧ください。

ポイント

  • 顧問契約していれば、困ったときにすぐに相談可能
  • 介護事業者にとって顧問弁護士は、問題予防や解決に極めて有効

4. 顧問契約の顧問料(税抜)

月額
原則5万円〜※

※月額5万円が原則ですが、事業規模などに応じ、柔軟に対応させていただきますのでご相談ください。

介護事業の顧問弁護に強い理由

弁護士 壇 一也が介護事業の顧問弁護に
強い理由をご紹介

介護事業に関する豊富な経験と実績を持ち、
特有の問題についてスピーディーで適切なアドバイスを

私は、かなり前から多数の介護事業者様の顧問弁護士として関与させていただいております。
そのような中で、介護事業者様の様々な悩みやトラブルについても数多く取り扱わせていただきました。
そのため、私は、介護事業の現場では日々どのような問題が生じているのかを肌で感じ、特有の問題点について他のどの弁護士よりも深く理解しているつもりです。そして、私は、日常的に生じる問題にどのように対処すべきかを顧問先の介護事業者様と一緒になって考え、その解決のために取り組み続けてきました。

また、介護事業においては、労務問題(労働問題)が生じることが少なくありません。私は、介護事業に限らず、その他の事業における労務問題についても数多く取り扱い、解決してきた豊富な実績があります。
このようなことから、介護事業者様特有の問題について、私は、スピーディーに適切なアドバイスをすることができると自負しております。