解決実績

2017年08月

[労働問題:労働審判]

【労働者側】福岡県古賀市で運送業を営む会社に残業代や未払給料を請求した件で、520万円を回収した事例

事案の概要(残業代請求、未払給料請求)

本件は、福岡県古賀市で運送業を営む会社に対し、トラック運転手として勤務していたお客様が残業代や不当に減額された給料(賃金)の支払いを求めた事案です。

弁護士壇一也による弁護活動の成果

1 請求額

543万円

2 解決額(回収額)

520万円(回収率95%)

3 苦労ないし工夫した点

(1)依頼を受けた経緯

このお客様は、相手方会社を退職する際、退職月の給料を不当に減額されたことから、私に相談をされました。

そして、お客様から話を聞いてみると、長期間にわたって長時間労働・休日労働を繰り返していたことが判明しました。それを受けて、私は、お客様に残業代(割増賃金)を請求できることを説明しました。

それに対し、お客様は、退職月の給料をきちんと支払ってもらえるのであれば、残業代は請求しなくてもよいとの考えでしたので、私は、残業代は請求することなく、退職月の給料を通常通りに支払うことを相手方会社に求めました。

しかし、相手方会社は、当方の請求には応じませんでした。

そのため、お客様は、残業代も一緒に相手方会社に請求することを決断されました。

(2)残業代請求のために取り掛かったこと①【時効中断の手続】

まず、残業代は、過去2年分しか請求できません。それは2年間で残業代請求権が時効により消滅してしまうからです。仮に3年間長時間労働を繰り返したとしても、うち1年分は請求できなくなるのです。仮に、勤務先を退職してしまった場合は、たとえば退職から1カ月経過すれば1年11か月分しか請求できなくなるのです。

つまり、退職から時間が経過すればするほど残業代を請求できる期間が短くなってしまうのです。

しかし、内容証明郵便で残業代を請求することで、これを止めることができます。これを時効を中断させるといいます。

そのため、本件についても、まずは内容証明郵便を相手方会社に送付し、時効を中断させることにしました。

(3)残業代請求のために取り掛かったこと②【証拠保全の手続】

残業代を請求するためには、時間外労働をしたことを示す証拠がなければなりません。しかし、お客様は、その証拠をお持ちではありませんでした。つまり、その証拠は、相手方会社が持っていたのです。具体的には、相手方が保管している運転日報に労働時間を裏付ける記載がありました。

そのため、私は、証拠保全手続を利用することとしました。

証拠保全の手続とは、裁判所を利用して、相手方会社に裁判官と一緒に赴き、その場で証拠を差し押さえる手続です。

そして、速やかにその証拠保全手続を申し立てたところ、裁判所にもその必要性を認めてもらいました。そのうえで、裁判官やほかの裁判所職員の方と一緒に相手方会社に赴きました。そこで、無事に運転日報を確保することができました。

(4)労働審判の申立て

証拠保全手続で取得した運転日報をもとに残業代を計算して、速やかに労働審判の申立てを行いました。

そして、労働審判では、当方の請求額543万円に対し、裁判所は480万円を解決金として支払うように相手方会社に命じました。

ところが、相手方会社はこれに納得がいかないとして異議申し立てをし、通常訴訟に移行することとになりました。

(5)通常訴訟(第一審)

労働審判では、早期解決を目指す関係もあり、運転日報を細かく検討することはありませんでしたが、訴訟になれば、運転日報を1日1日細かく検討する必要が出てきました。

この作業はかなりの時間と労力を要する作業でしたが、2年分についての検討を終え、主張立証を行いました。

相手方会社は、運転日報に記載された時間は信用できないとして、当方の主張を強く争ってきました。具体的には、休憩時間が多かったなどと主張してきました。そして、相手方会社は、それを裏付けるため他の従業員を証人として申請しました。その従業員は、会社の主張に沿う証言をしました。

これに対し、当方は、相手方会社の従業員の証言は運転日報の記載などからすると証言できないとして反論しました。また、相手方会社に以前勤務していたことのある従業員の方にもお願いして、当方の証人として出頭してもらい証言をしてもらいました。

その結果、裁判所には当方の請求のほぼすべてを認めてもらい、実質勝訴の判決が下されました。

ところが、相手方会社は、この判決にも納得がいかないとして控訴を申し立てました。

(6)通常訴訟(控訴審)

控訴審では、裁判所より話し合いによる解決を勧められました。

そして、控訴審の裁判所も当方の請求を認めたうえで、相手方会社にそれを前提とした解決をするように説得をしてくれました。

その結果、遅延損害金を含めて、相手方が520万円を支払うことで和解が成立しました。

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