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2017年08月19日

コラム

【労働問題:退職金請求②】懲戒解雇をされた場合は退職金はもらえないのか?(福岡の弁護士による無料相談受付中です)

福岡の弁護士の壇一也です(^^)

長く勤めた会社で懲戒解雇をされた場合、退職金をもらうことはできなくなってしまうのでしょうか。

もちろん懲戒解雇されるような行為をした点は反省すべきですが、長い間会社のために働いてきたにもかかわらず、退職金を一切もらえないという結果には納得できない方もおられるかと思います。

では、裁判所はどう考えているのでしょうか。それについて簡単にご説明します。

まず、退職金を支給するかどうか、支給するとしていくらを支給するかについては会社の退職金規程に基づいて判断されます。

一方で、懲戒解雇された場合や懲戒解雇事由がある場合には、退職金を支給しない、もしくは支給額を減額するということも退職金規程に基づいて判断されます。つまり、会社の退職金規程にそのような退職金不支給規定や減額するとの規定がない限り、退職金を支給しないなどの扱いは基本的にはできないということになります。

では、退職金規程にそのような規定があった場合には、その規定に該当する事実があれば、そのとおりに退職金が支給されなかったり減額されるのかというと必ずしもそうとは限りません。

つまり、裁判所は、次のとおり判断しています。

仮に退職金規程に基づく退職金不支給事由に形式的に該当する場合であっても、退職金を不支給または減額ができるのは「それまでの勤続の功を抹消又は減殺するほどの著しい背信行為がなければならない」とした裁判例があります(大阪高判昭和59年11月29日労民集35巻6号641頁、東京地判平成6年6月28日労判655号17頁等)。

要するに、その労働者のこれまでの会社への貢献を考えて、その貢献をゼロにしてしまうような会社に対する背信行為がなければ退職金を支給しないということは認められません。また、退職金の額を減額できるのも、背信行為によってその貢献の度合いが小さくなったと評価できるような場合でなければならないということです。労働者の皆さんがそれまで会社にどのように貢献してきたか(勤務年数や実績など)と、会社に対する背信行為の内容や程度のバランスを考えて、退職金は全額支給されないのか、減額されるとしてどのくらいに減額されるのかが決まるということになります。

その意味では、形式的には退職金不支給・減額規定に該当する場合であっても、退職金を全額もしくは一部を請求できることもあるということです。

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