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2017年11月18日

コラム

【離婚:財産分与③】財産分与とは?(福岡の弁護士による無料相談受付中です)

福岡の弁護士の壇一也です(^^)

今回は、財産分与についての具体的な例をご説明したいと思います。

どの時点の財産を財産分与の対象とするのか?

前回、夫婦共有財産については名義が夫か妻かとは関係なく、財産分与の対象になるとお伝えしました。

もっとも、財産の額は、日々変動することが一般的です。たとえば、預貯金も給料収入があれば増えますが、水道光熱費などの支払いがあれば減ることになります。

では、財産分与においては、いつの時点の夫婦共有財産が対象となるのでしょうか。

財産分与の考え方は、夫婦が共同で築き上げた財産を離婚に伴って清算することにありました。

そのため、共同で財産を築き上げているとは言えなくなった時点の財産をもって、財産分与の対象と考えることができると思います。

裁判実務では、通常、離婚に向けて別居生活を開始した時点での財産が財産分与の対象になると考えられる傾向にあります。常識的に考えても、離婚に向けて別居を開始した時点で、夫婦が共同で財産を築く意思はなくなったと考えてもおかしくはないと思われます。

そのため、仮に、別居時点で夫の預貯金が300万円あったとして、別居後に夫が預金を払い戻して残高が100万円になったとしても、財産分与の対象になるのは別居時点での300万円ということになるのです。

財産の評価額に変動があった場合はどうするか?

では、仮に、夫が別居時にソフトバンクなどの上場株式を持っていたとして、その株価が別居後に大きく値上がりした場合はどうでしょうか。

この問題は、前半で説明したいつの時点の財産を財産分与の対象とするのかという問題と似ているようで全く異なる問題です。

たとえば、夫がソフトバンクの株式を別居時に500株保有していたが、別居後に200株買い増しして合計700株を保有するようになった場合には、前半の問題となり、700株ではなく、500株を財産分与の対象とすることになります。

今回の問題は、この500株を前提として、ソフトバンクの株価が別居時に1株6000円であったものが、別居後に1万円になった場合はどうなるのかという問題です。

別居時には、ソフトバンクの株は300万円(=6000円×500株)ですが、別居後は、500万円(=1万円×500株)と大きく値上がりしている場合には、夫のみならず妻にとっても大きな関心事になると思います。

答えとしては、財産の評価は、別居時ではなく離婚時のものによるということになります。

今回の例では、財産分与の対象となるソフトバンクの株は500万円ということで評価することになるのです。そのため、妻には、この株だけでもその半分の250万円の取り分が認められるということになります。

もちろん、このようなことは、財産の評価額が日々変動するものについてのみ問題となります。

株の他には、投資信託や不動産についても同様の問題は起こりえます。一方で、預貯金については、評価額の変動は通常考えられませんので、このような問題は生じません。

 

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