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2018年11月30日

コラム

【賃貸借契約:建物明渡請求、立退き交渉④】どのような場合に立退料は発生するのか(福岡の弁護士による無料相談受付中です)。

こんにちは!福岡の弁護士の壇一也です。

今回は、具体的に立退料が発生した事例について簡単にご説明します。

事案の概要(東京地判昭和41年2月15日)

建物について

1 所在場所 東京都中央区銀座

2 建物の構造等

⑴ 地下1階地上5階の建物

⑵ 大正14年建築

⑶ 昭和20年の空襲による火災で2階以上を焼失し、応急的修理しかなされていないなど老朽化が著しい

賃貸借契約の内容について

1 賃料

2 賃貸部分 本件建物の地下部分

3 賃借目的

裁判所はどのような判断をしたか。

結論

裁判所は、賃貸人の解約申入れには「正当事由」が認められるとして、立退料の支払いを命じることなく、賃借人に明渡しを命じました。

理由

1 本件建物は老朽化が激しく、浸水及び腐錆に対する根本的な修理は技術的に不可能である。

2 1からすると、賃貸人が改築工事を計画しても何ら不合理ではない。

3 本件建物は、近代的建築が建ち並び、地価の高騰も認められる銀座地区に所在することから、地下及び空間の高度利用が要求される。しかし、本件建物は、このような近代的ビルに比較すれば、はるかに利用価値が劣り、その構造・外観からしても、前時代的建物と称すべきものである。

4 3からすると、貸しビル業を営む賃貸人が一刻も早く本件建物を近代的ビルに改築しようとすることは無理からぬところである。

コメント

本件で、裁判所は、無条件で「正当事由」が認められるとして、賃借人に対し明け渡しを命じました。つまり、立退料の支払は命じられませんでした。

その理由としては、老朽化が著しいことに加え、銀座という場所に本件建物が似つかわしくないことが挙げられています。

一般的には、立退料の支払が命じられることなく、明け渡しが認められることは少ないと思われます。

本件では、それを支えるだけの建物の老朽化が認められ、また銀座という特殊なエリアに本件建物が所在したことが大きかったのだと思われます。


 

弁護士壇一也は、正当事由に関連した建物明渡交渉や訴訟手続を数多く扱っております。

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