【企業側】福岡市でIT業を営む会社に対し、退職勧奨等の違法などを理由に損害賠償請求がなされた件で、195万円を減額して解決した事例(福岡の弁護士による無料相談受付中です)
事案の概要(損害賠償請求)
福岡市でIT業を営むお客様の会社に対し、従業員が損害賠償として合計220万円の支払を求めて、労働審判を申し立てました。
本件は、経理業務などを担当していた従業員が会社の指導に従わず、何度も注意指導をして改善を求められました。しかし、結局は、その改善がなされなかったために会社が退職勧奨をしました。従業員は、この退職勧奨には応じませんでしたが、これらの対応に問題があるとして、従業員が会社に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をしたものです。
弁護士壇一也による弁護活動の成果
1 請求された額
220万円
2 解決額(支払った額)
25万円
3 減額した額
▲195万円
4 工夫ないし苦労した点
⑴ 退職勧奨についての裁判例
退職勧奨とは、辞職を勧める使用者の行為、あるいは、使用者による合意解約の申込みに対する承諾を勧める行為として、このような勧奨行為を行うことは基本的には自由とされています(東京高判平成24年10月31日労経速2172号3頁、東京地判平成25年11月12日労判1085号19頁)。
一方で、裁判例では、このような退職勧奨も「社会的相当性を逸脱した態様での半強制的ないし執拗な退職勧奨行為が行われた場合」には、労働者は使用者に対し不法行為として損害賠償請求をすることができるとされています(最一小判昭和55年7月10日集民130号131頁)。
⑵ 本件で行われた退職勧奨について
本件では、会社側が従業員に対し、「社会的相当性を逸脱した態様での半強制的ないし執拗な退職勧奨行為」を行ったことはないことを裁判所に理解してもらうために、多様な証拠を用意し、また、それに基づいた反論を行いました。
その他、従業員側が主張していた、それ以外のパワハラについても、会社としては必要かつ相当な注意指導であったことを強く主張立証しました。
その結果、裁判所には、会社側の主張を全面的に支持してもらうことができました。
一方で、会社としては、この従業員には退職してもらいたい意向があったため、従業員側とやりとりを重ねた結果、解決金として25万円を支払うことを条件として、従業員が退職することに同意しました。
このように私が代理人として労働審判で対応した結果、お客様の会社としては、従業員からの損害賠償請求については応じず、かつ、この従業員と円満に退職する合意をできたことから、大変喜んでいただきました。