【労働者側】福岡市で金融業を営む会社に残業代を請求した件で、労働審判で260万円の支払命令を獲得した事例(福岡の弁護士による無料相談受付中です)
事案の概要(残業代請求)
本件は、福岡市で金融業を営む会社に対し、従業員であるお客様が残業代の支払いを求めた事案です。
弁護士壇一也による弁護活動の成果
1 請求額
270万円
2 解決額(裁判所が支払いを命じた額)
260万円
3 苦労ないし工夫した点
(1)問題となった点
お客様は、少なからず残業をされていましたが、残業代は一切支払われていませんでした。
相手会社は、お客様が管理者的な立場にあったとして、いわゆる管理監督者にあたることから残業代を支払う必要はないと考えていたようでした。
(2)残業代請求のために取り掛かったこと【時効中断の手続及び必要書類の開示請求】
まず、残業代は、過去2年分しか請求できません。それは2年間で残業代請求権が時効により消滅してしまうからです。仮に3年間長時間労働を繰り返したとしても、うち1年分は請求できなくなるのです。仮に、勤務先を退職してしまった場合は、たとえば退職から1カ月経過すれば1年11か月分しか請求できなくなるのです。
つまり、退職から時間が経過すればするほど残業代を請求できる期間が短くなってしまうのです。
しかし、内容証明郵便で残業代を請求することで、これを止めることができます。これを時効を中断させるといいます。
そのため、本件についても、まずは内容証明郵便を相手会社に送付し、時効を中断させることにしました。また、それと同時に相手会社に対し、タイムカードや就業規則などの資料を開示するように求めました。
(3)検討
相手会社から送付された資料等を確認しても、お客様が労働基準法上の管理監督者にあたるとは到底考えられませんでした。
そのため、タイムカードに基づき残業代を算出し、相手会社に残業代を請求することとしました。
(4)労働審判の申立て
労働審判では、相手会社は、お客様が管理監督者にあたることから残業代を支払う必要はないと反論してきました。
これに対し、私は、過去の裁判例を詳細に検討したうえで、お客様には労働基準法上の管理監督者にふさわしい権限や待遇が与えられていないことなどを証拠に基づいて反論しました。
その結果、裁判所には、当方の主張の大半を認めてもらうことができ、260万円を相手会社がお客様に支払うことを命じる審判をもらうことができました。