解決実績

2017年08月

[労働問題:パワハラ・セクハラ]

【労働者側】福岡市の宗教法人に対し、不当解雇無効・撤回請求、給料等請求、損害賠償請求をした件で、解雇の無効などが認められ、合計1000万円を超える金額を回収した事例

事案の概要(解雇無効・撤回請求、未払給料請求、残業代請求、損害賠償請求)

本件は、福岡市の宗教法人がお客様に対し懲戒解雇をしたことについて、それが不当解雇であるとして無効・撤回を求め、また宗教法人の代表者が暴力や暴言などのパワハラをしたことによる損害賠償等を求めた事案です。

元々、お客様は、社会保険労務士や他の弁護士に相談し、また依頼をされていましたが、最終的には私の方で対応させていただくこととなりました。

弁護士壇一也による弁護活動の成果

1 請求内容

①解雇無効・撤回請求

②(解雇以降の)未払給料の請求

③不当に減額された給料の請求

④パワハラについての損害賠償請求

⑤残業代請求

2 解決内容

①解雇無効の確認

②解雇後の未払給料全額及び遅延損害金全額の回収

③不当に減額された給料の全額回収

④パワハラがあったことを前提として請求額の一部について損害賠償金の回収

⑤残業代の大半の回収

3 最初に取り掛かった点

神職(神主)であるお客様は、解雇通知を受けた後、失業保険を受給するために労働基準監督署にその申請をしたところ、神職(神主)であることを理由にお客様は労働法に定める「労働者」にはあたらないとして失業保険の支給はなされませんでした。

そのため、相手方神社も、この労働基準監督署の判断を前提として、お客様が「労働者」にあたらないことから残業代も発生しない、解雇についても労働法が適用されることはないことから解雇権濫用の法理も適用されず有効であるなどと主張していました。

この時点では、お客様が他の弁護士に依頼されておりましたので、その弁護士と相手方神社の弁護士のやりとりなどをお客様からヒアリングし、私の方でお客様から依頼を受けることが適切かを検討することとなりました。

そこで、私は、神職が労働者にあたらないかについて文献や過去の裁判例を調査して検討しました。その結果、お客様については労働者であることを主張していくことは十分に可能と判断しました。

そして、私がお客様から正式に依頼を受けて、代理人として対応していくこととなりました。

4 相手方神社との交渉

私は、相手方神社に対し、お客様が労働者にあたることを前提として、解雇の撤回等を求めましたが、相手方神社は、解雇の撤回等をすることはありませんでした。

5 訴訟の提起

(1)裁判手続の選択

裁判所を利用するとして、労働審判によるか、通常の訴訟によるかをお客様と検討しました。

その結果、お客様の意向や本件は争点が多いことも踏まえて、労働審判によらず、いきなり訴訟を提起することとしました。

(2)労働者性について

労働法上の「労働者」にあたるかどうかは、結局のところ、①指揮命令関係があるかどうか、②労働の対価として「賃金」の支給を受けているかどうかの問題です。

そこで、私は、お客様の勤務実態をできるだけ詳しく具体的に主張立証し、①指揮命令関係があることを強く主張しました。また、それと並行して、①指揮命令関係があることや②「賃金」の支給を受けていたことを資料に基づき主張立証をしました。本件については、お客様がたくさんの根拠資料を保有されていたこともあって、これらの主張立証を十分に行うことができました。

その結果、裁判所からはお客様が「労働者」に該当するとの判断をもらうことができました。

(3)解雇について

相手方神社は、お客様の仕事ぶりに問題があったことなどを主張してきましたが、いずれも根拠がないばかりではなく、ちょっとしたミスを必要以上に誇張して問題視するような主張ばかりでした。

そのため、私は、その点を強く主張立証しました。

その結果、裁判所からは相手方がなした解雇は無効であるとの判断をもらうことができました。

(4)残業代について

お客様が時間外労働や深夜労働、休日労働を繰り返していたことは明らかでしたが、それを裏付ける資料は十分とはいえませんでした。

しかし、時間外労働などを推測させる資料に基づき粘り強く主張立証したところ、裁判所には、その大半について当方の請求を認めてもらうことができました。

(5)パワハラについて

お客様は、相手方神社の代表者から長期間にわたり執拗な暴言や暴力などを受けていました。

そのため、私は、これらがパワハラにあたると主張立証しました。

相手方神社は、一部の暴力があったことを認めたものの暴力は基本的にはなかった、その他の暴言も指導の一環だったとして、当方の主張を全面的に争いました。

しかし、これについてもお客様が暴言や暴力を裏付ける十分な資料を保有されていたこともあり、裁判所には、当方の主張の大半を認めてもらうことができました。

(6)給料の一方的な減額について

お客様は相手方神社から合理的な根拠もなく一方的に給料を減額されていました。

そのため、私は、相手方神社による給料減額には法的根拠がないことを強く主張立証しました。

その結果、裁判所には、当方の請求を全面的に認めてもらうことができました。

6 最後に

本件は、あまり縁のない宗教法人内部での問題であり、そこで使われる用語や勤務内容について初めて知るものも多く、まずはそれを理解することが非常に大変でした。

しかし、お客様との打ち合わせを何度も重ねて地道に勉強を重ねていくことで少しずつ理解が進むようになりました。

また、本件は、お客様が十分な証拠を準備されていたことがお客様に満足していただける結果を残せた大きな要因だと思っております。

不当解雇やパワハラ、残業代請求などの労働問題でお困りの方は、お気軽にご相談ください!初回の法律相談料は無料です(無料相談)。