【企業側】福岡市の社団法人がなした雇止めについて、解雇権の濫用であるとして無効・撤回請求等がなされた件で、30万円の解決金を支払うことで円満退職による解決ができた事例
事案の概要(解雇(雇止め)無効・撤回請求、未払給料請求)
福岡市の社団法人が有期雇用契約を締結していた従業員との契約を期間満了で終了させることとなった。
それに対し、その従業員は弁護士に依頼して、不当な雇止めにあたり、実質的には解雇にあたるとしてその無効と撤回、及び雇止め後の給料の支払いを請求してきた。
弁護士壇一也による弁護活動の成果
1 請求された内容
相手方従業員は、①雇止めの無効と撤回、それに伴う復職、②雇止め以降の未払給料を請求してきました。
2 解決内容
相手方従業員の弁護士との間で文書や電話などによるやりとりを重ねた結果、以下の内容で和解が成立しました。
①解決金として30万円をお客様が相手方従業員に支払う。
②契約期間満了で相手方従業員は円満退職したものとする。
3 苦労ないし工夫した点
本件は、5回にわたり契約の更新がなされていた事案でした。
本来、有期雇用契約は期間の満了によって終了することが原則です。しかし、契約の更新が繰り返されることによって、有期雇用契約が実質的には無期雇用契約と評価され、ある時点で契約を更新しないとすることが実質的には解雇にあたると評価されることもあります。
本件も相手方従業員は、同じような理屈で弁護士を通じて、雇止めの撤回などを求めてきました。
確かに、本件は過去5回の契約の更新が行われていたため、相手方従業員の主張にも一定程度根拠がありました。そのため、裁判手続に移行した場合には、お客様が敗訴する可能性も十分に存在しました。
そのため、私は、お客様に対し裁判に移行する前に和解によって解決した方がいいとアドバイスをさせていただき、お客様にもその方針に同意していただきました。
そこで、私は、少しでもお客様の負担が少なくなるように当方にとって有利な事実及び相手方従業員に不利な事実を証拠に基づいて主張することで、相手方従業員の弁護士と粘り強く交渉しました。
その結果、相手方従業員の譲歩も引き出すことができ、30万円の解決金を支払うことで円満退職するという内容で、裁判に移行する前に解決することができました。