解決実績

2017年08月

[労働問題:労働審判]

【企業側】福岡県宮若市で運送業を営むお客様の会社に未払給料等が請求された件で、145万円を減額して解決した事例

事案の概要(解雇予告手当、未払給料、損害賠償請求)

福岡県宮若市で運送業を営むお客様の会社に勤務していた従業員が不当に解雇されたと主張し、解雇予告手当と未払給料を請求し、さらには、相手方従業員は、お客様の会社の代表者からパワハラを受けたとして慰謝料を請求した事案です。

弁護士壇一也による弁護活動の成果

1 請求された内容

①解雇予告手当、②未払給料、③慰謝料の合計175万円

2 解決額(支払った額)

30万円

3 減額した額

145万円(減額率82%)

4 工夫ないし苦労した点

私は、お客様の会社が相手方従業員から弁護士を通じて労働審判を申し立てられた後に相談を受け、代理人として対応することとなりました。

(1)解雇について

相手方従業員は、弁護士を通じて、解雇をされたと主張しておりました。しかし、お客様の言い分は、解雇などはしておらず相手方従業員が自主退職したということでした。

そのため、私は、お客様と何度も打ち合わせを重ね、退職した経緯を詳しくヒアリングしました。そして、相手方従業員が自主退職したことを推測させる資料の収集を指示しました。

そのうえで、労働審判で、私は、相手方従業員が自主退職したことを証拠に基づいて主張立証しました。

その結果、裁判所にも相手方従業員が自主退職したことを認めてもらうことができました。

(2)パワハラについて

相手方従業員は、お客様の会社の代表者から暴言を受け、それがパワハラにあたると主張しました。

しかし、お客様の話を聞く限り、それは指導の一環であり、指導の仕方としても相当性を逸脱したものではないと判断しました。

そこで、私は、その点を強く主張立証しました。

その結果、裁判所にもパワハラがあったと認めることはできないと考えてもらうことができました。

(3)解決方法

以上を踏まえ、相手方従業員の主張には何ら理由がないものばかりでしたが、私は、お客様と検討した結果、早期解決を目指して解決金として30万円を支払うことで調停を成立させることとしました。

私が受任してから3か月という短期間でスピード解決を図ることができました。

なお、相手方従業員の主張には理由がないことが前提であるにもかかわらず、なぜお客様の会社が解決金として30万円を支払うかということについて疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。これは早期解決のメリットを重視したことによります。すなわち、相手方従業員の主張には理由がないから解決金も支払わないと強く主張することはできますが、その場合は、労働審判ではなく、通常の訴訟に移行する可能性が高くなります。通常の訴訟に移行すると、最低でも解決までにさらに半年から1年程度は要することが見込まれます。そうすると、この期間、お客様が訴訟の対応をするだけではなく、別途弁護士費用も支払わなければなりません。そうなると負担も大きいため、このような負担を免れるため、相手方従業員に解決金を支払って労働審判で事件を終わらせることとなるのです。