2017年08月20日
コラム
【労働問題:退職金請求③】懲戒解雇をされても退職金をもらうことができた例としてどのようなものがあるか?(無料相談受付中です)
福岡の弁護士の壇一也です(^^)
前回8月19日のコラムでは、懲戒解雇をされた場合であっても退職金を請求できる場合もある、つまり【懲戒解雇≠退職金をもらえない】ということをご説明しました。
今回は、どのような場合に退職金をもらうことができるのかを過去の裁判例に基づいて簡単にご説明したいと思います。
事 例
鉄道会社の従業員が、自身のプライベートの時間帯に電車内で痴漢行為をしたとして懲役4月、執行猶予3年の有罪判決を受けました。
その従業員は、過去にも2度同じ痴漢行為をしたとして刑事処分を受けた前歴がありました。
その結果、鉄道会社は、この従業員を懲戒解雇にするとともに、退職金は支給しないという決定を下しました。
裁判所の判断
裁判所は、主として以下の理由から本来の退職金の3割を支払うように鉄道会社に命じました。
(1)従業員にマイナスの事情
①痴漢行為自体が悪質であること
②過去にも2度同じような痴漢行為を行って刑事処分を受けた事実があること
③会社内でも過去の2度の痴漢行為について懲戒処分等を受け、やり直しの機会を与えられていたにもかかわらず繰り返したこと
④この従業員自身が鉄道会社の社員として乗客の痴漢行為を率先して撲滅すべき立場にあったこと
(2)従業員にプラスの事情
①痴漢行為は、プライベートの時間帯に行われたものであり会社の業務とは無関係であったこと
②痴漢行為が報道されたわけでもなく、鉄道会社の社会的評価が現実に低下したわけではないこと
③この従業員は20年以上の勤務を続け勤務態度も非常に真面目であったこと
④この鉄道会社では、過去、横領行為を働いた他の従業員に対し退職金が一部支給された実績があること
コメント
いかがでしたでしょうか。
この事例のように過去3度痴漢行為をした従業員についても、退職金の3割は支給すべきと裁判所が判断する例もあるということです。
もちろん、この従業員が20年以上勤務をし勤務態度も真面目であったことも大きかったと思います。
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